ワキタヤBLOG

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「黒剣のクロニカ 3巻」を読む。イマドキ珍しいストレートな少年の成長物語。

黒剣のクロニカ 03 (星海社FICTIONS)

黒剣のクロニカ 03 (星海社FICTIONS)

 

黒剣のクロニカ3巻を購入。5巻くらいシリーズで続くのかと思ったら、3巻で完結。潔い。
以下、感想です。

今時、珍しいくらいのストレートな少年の成長物語でビックリする。
「好きになった女の子を守りたいから戦う」というこれ以上無いシンプルな理由で戦いに身を投じる主人公。

少年の成長物語にリアリティを感じられない、感情移入できないという理由からか、受け手は主に男だけど、「少年」と「少女」をコンバートして描いている成長物語が多かったので、ちょっと新鮮に感じた。

今の十代の子には受けないんじゃないかと考えたけど、今の若い子にも「ラピュタ」は受け入れられているので、マーケティング的には問題はないのか。
ジャンプも部数を減らしているとは言え、売れているのは売れているのだろうし。

マーケティング的と言えば、ハーレム要素をきっちり入れてあるのがイマドキの「商品」っぽい。

2巻でなし崩し的にモンスター娘軍団を率いることになった主人公ですが、3巻では終盤で「あなたの子どもを産みます」と娘さん達に告白されまくります。
好意の表現がストレート(古代)。

物語終盤の盛り上がりの部分でラスボスを追い詰めるために、ハーレム要素を使ってくるのが新鮮です。
人によっては「うへぇ」となるんでしょうが、私は大丈夫でした。

ハーレム要素自体は別に今に始まったものじゃないだろうけど、最近は「なろう系」ハーレムが流行してますね。 

一昔前は、ヒロイン達が無個性で何の取り柄もない主人公に盲目的に惚れ込んでいるタイプのギャルゲー系ハーレムが流行だったと思う。

「なろう系」のハーレムは、主人公が惚れられるに値する能力を持っているなど、惚れられる理由付けがきちんとあります。
まあ、異世界の神から与えられたチート能力であることが殆どですけどね。

自分の能力など内面の魅力で惚れられたいけど努力するのはいやだ、という男の身勝手の願望が前面に出てきたわけです。
ただ単にちやほやされるだけでは満足出来なくなってきた。

本作では、主人公が惚れられる要素がモンスター娘でも興奮できるという特殊性癖ということが、ある意味コメディ要素になっており、男の身勝手な願望要素が中和されています。
「なろう系」が苦手な人でも読めるのではないでしょうか。
「なろう系」はハマると気持ちいいですけどね・・・・・・

主人公のダリド、ダリスの関係、ウラミの妹のカンナの話も若干説明っぽいですが、キレイにまとめられており、元々シリーズ構成がそんなに長くなかったということを伺わせます。

相変わらず文体が簡素なので、ひっかかりなくスラスラ読めます。
山場はもうちょっと盛り上がるような文体がいいんじゃないのとは思いましたが、全体の調和を考えると仕方ないですね。

文章が熱く盛り上がって行くわけではないのに、山場感がそれなりにあるのが不思議な感覚。
多分、構成が上手いということなんだろうな。

あと、後書きに書かれているけど、芝村氏は3巻くらいで終る物語の分量が好きみたいですね。
確かに最近の小説にしても、ドラマにしてもシリーズものは無茶苦茶長くなる傾向がある。
作る方は売れる限り続きを作りたいし、受け手も続編を希望するから延々と続く。

話題になったときに「ソード・アート・オンライン」を読んでみようと思ったけど、当時で10巻以上続いていたので手を出すのをやめましたからね。

ダラダラとシリーズが続くより、スパッとキレイに終った方が美しいけど、ビジネス上そうはいかない場合が多いでしょうね。
アメリカの連続ドラマは人気がある限り続けるから、途中でグダグタのグチャグチャになるもんな。
「LOST」とか最終的に訳が分からない展開になっていたもの。

「商品」として人気があるのは嬉しいけど、「作品」としてもキレイにまとめたいというのは、創作商売をする人には必ずついて回る問題でしょう。

もっと小さく美しくまとまったキャラクター小説を読みたいけど、ビジネスの要請から難しいでしょうね。

そういう意味で「黒剣のクロニカ」はさくっとキャラクター小説を楽しみたい人にはちょうどいいです。

長くもなく短くもなく、引っかかりもなく、つるっと萌え要素を味わえます。